お子さんを診察するとき、ずいぶん肌が乾燥しているなと思っても、お母さんに伝えるのは難しいので、よく水分測定器を使用します。
大人でも、気づいていない方には、よく測定をします。
数値で肌の水分量をお示しすると、乾燥の現実もスッキリ受け入れていただけ、保湿の励行につなげやすくなります。
ただ、最近は
「やっぱり『乾燥』ですか。」
とか
「原因は『乾燥』なんですね。」
というリアクションが増えてきています。
どうも正規の医療情報でない場所で
「乾燥」
という疾患が有るかのように扱われているようです。
乾燥は、肌の状態を現す言葉ですから原因も理由も対策もいろいろです。
アトピー性皮膚炎の乾燥なのか
思春期に多く分泌される皮脂が出る前の年齢層の一時的な現象なのか、
冬だから、
水分摂取不足だから、
加齢?
化繊の衣類の擦れ、
ナイロンタオル愛用してるのでは、
糖尿病や肝臓病のせいか、
などなど、原因の可能性をみつけ、それに対応して是正していく方向へ繋げることが大切です。
皆さんがよく希望されるような
「『乾燥」という病気があって、保湿剤を塗る。」
というところでは立ち止まらないで欲しいなと思うことが増えました。

それにしても、乾燥肌の治療で最も困るのは下着とパジャマ、という時代になっていまいました。
少し前までは、綿100パーセントが当然だったはずですが、今では綿100ののパジャマや下着を探すのは大変です。
しかし、乾燥肌の人が化繊の下着やパジャマを着用すると大変な痒みに襲われます。
以前なら、お出かけ用のウールの服の下には綿100の下着を着てね、とアドバイスしていましたが、
最近では
「綿100って何ですか?」
「え?フリースも化学繊維ですか?」
という質問を受けるくらい、身の回りから天然素材が消えていっています。もはや綿100は贅沢品となりそうです。

しかし、いつも現場で申し上げるのですが、そこのディテールのこだわりが、治療結果を分けます。