
同じ年齢、同じ学校に通っていても、事情も違うし治療も違います。
何よりも、治るまでの速度も一人一人違います。
今回は4人のパターンで、ニキビ治療の現場のお話をしてみましょう。

A くんは
部活でヒーロー。練習が忙しくて、初診の時から
「今日は部活が休みなので、たまたま来れたけど、今度いつ来られるかわからない」
私の心の声「本当に忙しそうですね。今日渡した薬で治ったらいいんだけど・・・・」
そうです。多くの方が、「初診時にもらった薬を塗りさえしていれば治っていく」と思っているようです。
こんなイメージのようです。

それなので、
「大量に薬を欲しい」と言います。
私の心の声
「本当にそうだったら、いいね。祈ってるよ。」

Bくんは、
進学もAOで決まり、受験勉強から解放され、大学入学まで数ヶ月ある。
その間に集中してニキビを治したい。
私の心の声
「そう、よく分かってらっしゃる。
最初の薬だけで治る人はそんなに多くはない。
細かく軌道修正してその人の肌に合った薬に変更することが大事」
つまり

最初の薬の効きが悪いケースもある。
その時には軌道修正が必要だし、なぜ効かないかを探ることも大事。

効かない原因として考えられることは以下の3つに絞り込まれます。
1)塗る量が少ない
2)薬の効きを邪魔するような生活習慣がある
3)薬の効き目が弱すぎる
それらを探りだすのにも何度も受診が必要なこともあります。
それでやっと、軌道修正に成功すると

ここまで2ヶ月以上かかることもありますし、
その間は毎週来てもらうこともあります。
時間があるBくんだからできたことですね。

Cさんは、
中学生の頃からメイクに凝り始め、休日は必ずメイクをしていました。
高校に入ってからは毎日ファンデーションを塗って登校しています。
当院への受診の時も厚くメイクをしていて、肌の状態が把握できません。
説得してメイクを取ってもらうと、色々問題が明らかになります。
10代にしては極端に肌が乾燥しているのです。(10代ってプリプリしているものです)
この、乾燥してパリパリめくれるような肌は、弾力もなく硬い肌です。
このような肌はコメドができやすく、ニキビの大きな原因となります。

なぜそんなことになったのでしょうか。
それはティーン向けのファンデの成分にも一因があります。
多くのティーン向けのファンデーションには、
価格を低くしないといけない事情から、値段の高い保湿成分を入れることは
難しいようです。

私の心の声
「いつの間にか、オシャレのためのファンデーションではなく、ニキビを隠すファンデーションになったんだね。
今はラッキーなことにマスクで学校に行けるから、この機会にファンデで蓋するのはやめて治しちゃおう」

Dさんは、
お兄ちゃんが当院でニキビ治療をしていたので、
当院の治療についてとても詳しいお嬢さんです。
来られた時から
「面疱圧出して欲しい」
とのご要望でした。
うん、よくわかってらっしゃる!

圧出には、もう一つ意味があって
処置の時に左手で肌をつまみながら右手で圧出するので

理想のもちもち肌に近づいているのか、まだまだなのかがすぐわかります。
そこで、また軌道修正を行うのです。
例えば、
「もう1週間だけ、この部位だけディフェリンを塗ってみて」
とか
「もうべピオはやめ時。あとは保湿剤多めで」
とか、
毎週違っている肌に対して即対応します。
Bくんが当院で行なっていたのも、こんな治療です。
また、ここまで読んだみなさんは、
Aくんが1回だけ来て「多めに薬欲しい」と持ち帰ったとしても漫然と塗るだけで効果があるかどうか
私が心配した気持ちもわかってくださるでしょう。
さて、いろんなパターンのニキビ治療をご披露しました。
上記の治療は全て保険診療です。
それぞれの事情に応じてニキビ治療は違ってくること、ご理解いただけたでしょうか。
みなさん全員がきれいに治ってほしい。そう思って熱意を持って治療に当たっています。
一緒に頑張りましょう。
***設定は全てフィクションです。実際の患者さんのことではなく、よくあるパターンをまとめたものです。
posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 13:01|
にきび治療