2018年01月13日
掌蹠膿疱症と水虫。
掌蹠膿疱症の診断と治療の中で、避けられないのが水虫との関係です。
掌蹠膿疱症は、今でも原因がはっきりしない疾患の一つで、
まるで膿んでいるような水疱が生じる疾患です。
掌蹠膿疱症
多くの患者さんが治療に何年も通院した経験があり
その間に皮膚科を転院していく方も多いのですが
よく問診時におっしゃるのが
「最初の皮膚科では掌蹠膿疱症と言われたのに、2番目の皮膚科では水虫と言われた。」
というエピソード。
皆さん、同じようなエピソードがあり、混乱や不信の原因になっているようです。
その原因は、掌蹠膿疱症の治療剤にあると思います。
よくあるケースですが以下のような流れを踏んでしまう患者さんが多いのです。
掌蹠膿疱症と水虫のループ
掌蹠膿疱症の治療中に水虫が発生し、さらにステロイドを塗ることで(ステロイドは水虫菌を増やすので)菌がどんどん増殖してしまう。
それでも、前には効いていたので、さらにステロイドを塗る。
当然悪化する。
転院する。(医院を変える)
転院先の医院に行く頃には掌蹠膿疱症の症状の上に水虫菌が重なっている状態で、どちらなのか判然としない。
真菌検査で調べると水虫が検出される。
掌蹠膿疱症の症状は水虫にマスキングされているのだが、最初の診断を知らない医師から「これは水虫です」と診断される。
水虫薬を外用する。
水虫菌は消え、かゆみや炎症が鎮まるが、隠されていた掌蹠膿疱症の症状は残るので、完治はしないで水疱はやはり残る。
それでも、水虫薬は少しは効いていたので、さらに塗る。
掌蹠膿疱症は悪化する。
転院する。
「水虫ではなく掌蹠膿疱症です」と診断される。へ戻る
掌蹠膿疱症の治療のために、
最も多く用いられるのはステロイド外用剤です。
その他にはビタミンD製剤もありますが、
実質、効果が強いのはステロイドの方なので、
初診時には、まずステロイドを処方されることが多く、
患者さんも数日外用していると症状が軽快するので
次の受診時もステロイドをもっと多く処方して欲しいとおっしゃるケースが多いようです。
塗っていて治りそうなら、
通院の手間を省くために大量に処方して欲しいと思うのは当然かもしれません。
しかし、ステロイドには、
靴の中のように高温多湿の部位に塗った場合は
水虫菌を増殖させる強い力があるのです。
そのため、治療中も真菌検査は行い、水虫が出たら早めに対応することが大切です。
また、ステロイドに頼り切らない治療をすることも大切で、
保険で照射できるセラビームはとても効果のある治療法です。
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posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 13:06| 足・爪・靴に関する疾患