2021年02月05日

皮膚癌が疑われる場合の対応。



皮膚癌が疑われる場合について、当院の対応をお話しします。



この写真は海外の有料の画像提供サイトで入手したもので、
投稿した人(おそらくは医療関係者)が「扁平上皮癌」と題し
フリーに使用可能な画像として提供していた写真です。
欧米人の背中の画像と思われます。

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私が見ても、扁平上皮癌の特徴が示されていると思います。






こんな患者さんが来られた場合の対応をお話しします。



最終的に、皮膚癌であった場合の正しい処置は「拡大切除」、

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そして、どこかへの転移がないかの精密検査、となります。



私の場合、拡大手術も転移の精密検査も、大学病院クラスの医療機関に依頼するようにしています。





さて、「がんなら大病院へ紹介」が決まっているルールの場合、
当院が心がけることは

「引き継いでくださる大学病院の先生が治療しやすいこと」。

それが即ち患者さん自身にとっても、一番いいことです。





それを想定した場合は全摘出を行わずに、
「一部切除の病理検査」、いわゆる「生検」のみを当院は行います。
ダーマスコピーを使った非観血的検査が広がりつつありますが、
まだまだダーマスコピーのみで癌の確定診断を下すのは私には困難に思えます。


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生検の方法は以下の通りです。

1)局所麻酔の注射をしてからメスで一部を切り取り

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2)取り出した組織を病理検査へ出します。(当院の場合、信頼できるドクターに外部委託)



3)切り出した後をバイポーラで止血し
 
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4)縫合します。

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5)糸を抜くまでは安静にしていただいて、後日抜糸にきてもらいます。
場所や大きさにもよりますが、5〜14日かかります。
当院が依頼している病理のドクターから病理検査の結果が返ってくるのは
3~4週間先になります。




「ちょっとした検査のつもりだったのに、これでは手術と同じではないか」
「それならばいっそ全部取ってほしい」


そんなお声も聞こえそうですが、
もし、当院で全摘をする場合、できるだけ傷を小さくすることを念頭にぎりぎりの境界線で手術することになります。
癌の摘出の時は周囲に転移していないかを確認するためにかなり大きく取らねばなりませんが、
取った後の病理検査で癌でなかったときには、拡大手術は患者さんに大きな体の負担を無駄に負わしてしまうことになるからです。


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このよううに生検をせずに一気に全摘した場合のことをお話しします。

その病理検査が「癌でない」となった時は患者さんの利便性上もよかった、となるのですが、

病理検査の結果が「癌」だった時に、紹介先の病院の先生は拡大手術を検討するときに
「全摘の傷跡」と「私が撮った術前写真」を元に治療しなくてはなりません。

それでも、ドクターは診てくださいますが、やはり臨床像(見た目)を
ご覧になった方が、治療後のイメージも沸きやすいと思います。



そのため、皮膚癌が疑われるときは、そのまま手付かずで大学に紹介するか、
まず生検だけを行うようにしています。


この辺りは皮膚科医師の中では通常の流れですが、
一般の皆様にもご理解いただきたいので、今回お話ししました。









posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 09:33| ホクロや皮膚癌