2021年03月13日

皮膚腫瘍除去術の時に考慮すべき皮膚割線について


皆さんの皮膚を摘んでいただくと、簡単につまめる方向と、
皮膚が伸びずにつまめない方向があることに気づくと思います。



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その理由は、人の皮膚両面には皮膚割線という皮膚の流れがあるからです。


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その皮膚割線に沿って縫合線ができるように腫瘍を取ると手術の傷の治りも早く
美しく治りやすいことが知られています。


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皮膚割線方向に長軸が向くように紡錘形に切除して

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縫合します。

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そうなると、皮膚割線方向に細長い皮膚腫瘍は紡錘形のデザインがしやすいことになります。

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対して、皮膚割線に直行する方向に長軸がある皮膚腫瘍の場合は
皮膚割線を意識すると、こんなに大きく切除しなくてはいけなくなります。

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縫合距離も長くなりますし
腫瘍そのものよりも、健康な皮膚の方がたくさん切除されてしまうことに気づかれると思います。


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同じ大きさの腫瘍なのに90度方向が違うだけで倍ほど縫う針数が多くなります。


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そんな場合は、無理をせずに時間を空けて2回に手術を分けて施術すると
大きな傷を残すことなく、また健康な皮膚を無駄に除去することもありません。




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一度に取ろうと思わないことも、場面によっては大切です。









posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 14:39| ホクロや皮膚癌など皮膚腫瘍全般
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