2023年08月17日

国立国際美術館「コレクション1 80/90/00/10」-4



今回のコレクション展で、
「この作品は作家の代表作に含めていい」
と思うものをご紹介します。


ちなみに、先にご紹介した村上隆と森村泰昌の作品は、
国内にある中では作家の代表作の一つでしょう。
ファンなら足を運ぶ価値があるものです。








束芋(たばいも)作 「団段(danDAN)」-----------------


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束芋は、「田端家の妹」の略で名付けられた作家名です。
兵庫県神戸市出身で
お母様も大阪の美術商や料亭にゆかりのある陶芸家です。



2006年朝日新聞の夕刊連載小説「惡人」の挿絵が話題となりましたが、
主戦場は映像作品。

ヴェネチアビエンナーレに招待作家として出展するなど注目を集め
2010年には国立国際美術館での個展も行いました。

その時のお買い上げ作品が今回出展されている「団段」です。


団地の内側の生活でしょうか。
縦に3面並んだ画面の中に
室内を俯瞰した画像が写ります。

生活感のある室内での営みが流れるように描写され
慌ただしい日常が展開されます。

そこには空疎さはなく、力強い生命力があるように感じます。


この作品に限り、撮影禁止。なので、キャプションだけ載せますね。




あ、ちなみに、このコレクション展は、撮影許可が必要です。
ブログへの掲載は大丈夫と言われました。









会田誠「瀧の絵」------------------



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会田は取扱注意の火薬のような作家で、
私も慎重にこの欄を書かねばなりません。



私がウォッチングを始めたのは2000年代
山口晃と「こたつ派」を立ち上げた頃です。


その後のことは、興味のある方は調べてください。
そこは飛ばしてこの絵、です。




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キャプションには制作年は2007-10年とあり
4年の歳月をかけたことがわかります。


古い記事に、
「女の子は描けるけど滝が描けない」
と苦心している様子の発言が見つかりました。




まさにこの絵の見どころは「滝」の描写です。



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会田は
1989年東京芸術大学油画専攻卒業、
1991年東京芸術大学大学院修了(油画技法材料第一研究室)


という経歴ですが、好んでアクリル絵の具を使います。





そのアクリル絵の具で滝を表現する中で


日本画の表現が脳裏をかすめたのかもしれないと
この絵を詳細に見ると思います。







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円山応挙「瀑布図(一部)」





薄く金泥を刷いているのです。




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苦しんで表現した合田の滝。
代表作の一つでしょう。
























posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 21:29| 医療以外のつぶやき
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