2023年11月16日

皮膚腫瘍除去術での切開の技術のお話。






時代が進み、現在において昔のドラマのように「メス」を使うことは
年々減少してきています。





腹部の外科も、内視鏡手術が増え
皮膚を切開することはできるだけしないようになってきました。




その背景の一つに、
「皮膚を切開する」
「皮膚を縫合する」

という技術の奥深さ、伝承の困難さ、もあることは否めません。





私のクリニックでも、
ホクロの手術の多くはメスではなくサージトロンを使った低侵襲の方法を用います。

しかし、
メスを使っての皮切の方が、美しく治る場合には、その旨を説明し
切除と縫合を行います。








例えば


皮下腫瘤


スクリーンショット 2023-11-16 9.30.31.png




そして大きな腫瘍


スクリーンショット 2023-11-16 9.30.36.png











私が使うのは、フェザーの使い捨てのメスです。
1回使い切りなので、刃物が摩耗することがありません。






IMG_3678 2.jpeg









その皮切に際して、気をつけないといけないことは






1 深すぎないこと

 深すぎると、皮下の腫瘍を破裂させてしまうことがあります。


 例えば粉瘤   



スクリーンショット 2023-11-16 9.30.31.png






最初の皮切は少し斜めに刃を倒します。



スクリーンショット 2023-11-16 9.58.22.png




切り進む時は少し刃を立てて刃の中央で切ります





スクリーンショット 2023-11-16 10.13.57.png




腫瘍の上に差し掛かると刃をさらに立てて先の先で切り進めます。





スクリーンショット 2023-11-16 10.14.50.png







この繊細で力のいる感覚は、伝統工芸士の方なら分かっていただけるかも
という世界です。



スクリーンショット 2023-11-16 10.15.10.png













2 浅すぎないこと



 浅すぎると、切開線が途切れます。

  

 スクリーンショット 2023-11-16 12.05.58.png








3 ためらい傷のように途切れず、一気に一筆で



浅すぎることと繋がるのですが、皮膚を数センチから10センチ以上、
一気に切り、しかも上の開始点と下の終点はぴっちり合わねばなりません。





スクリーンショット 2023-11-16 11.35.17.png






ためらい傷のようにギコギコと繋いで切っては良くないです。



スクリーンショット 2023-11-16 12.07.15.png










皮膚は、皆、違います。
本当に驚くほど違うんですよ!!





目指す切開線を切ることが大切で




スクリーンショット 2023-11-16 11.28.14.png






すいっと早く、正確に





スクリーンショット 2023-11-16 11.28.22.png







時に刃を立てて(背中などの分厚い皮膚)力を込めて




スクリーンショット 2023-11-16 11.30.33.png




時にはすくって(ぷよぷよの皮膚の場合)ゆっくりと



スクリーンショット 2023-11-16 11.31.20.png









これを目指します。




スクリーンショット 2023-11-16 11.35.17.png










これができたら何が違うかというと


手術時間が大幅に短くなります。
切られた断面に無駄な傷がないので、傷の治りが早く美しいです。









また機会があれば、縫合の手技の技術のお話もしますね。



























posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 15:47| ホクロや皮膚癌など皮膚腫瘍全般
kakimotoclinicA4