2025年05月09日

映画「教皇選挙」






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昔ほど映画館に行かなくなった原因はなんだろうと考えると



アメリカンコミックを原作とするヒーローものが増え、
名優と言われる人達がその主役をしていたり・・は、少し白ける原因の一つで





爆音、殺戮、恐怖体験など


脳にショッキングな刺激だけをぶつけてくるような作品に
興味が持てなかったり






そんなこんなで、昔の映画をつい見てしまう私ですが

(先日もヴィスコンティの山猫にひたっていました)












評判の



映画「教皇選挙」





を観に行きました。





水曜日の午前中でしたが、満席かな、という人気ぶり。
大人の男女が大半を占めていました。










実際の教皇選挙とは、と、若い人向けに簡単に話すと


キリスト教にも色んな宗派があります。
その中のカトリック、という教団のトップである教皇が
亡くなると、次の教皇を決めるために選挙が行われます。


その選挙は古式にのっとり、バチカンで行われます。
バチカンはイタリアのローマ市内にありますが
イタリアとは別の国家です。



新教皇が実際に決まった今なら、本当の選挙の様子が素晴らしい写真や動画で見ることができると
思います。






そしてこの映画は、教皇が亡くなった場面から新教皇が決まるまでを
描いています。








映画の人気の秘密を分析してみると

1)ちょうど教皇選挙(コンクラーベ)があった。
2)ある年齢層以上の日本人女性はバチカンに行ったことある率高め
3)関連図書や映画にもこれまで興味を持ってきた
4)CG多用の爆音映画はもう・・・・






などかなあ、と思います。






私はちょうどこの映画のターゲット層だと思いますので
もう少し、この映画を楽しむ背景を語ってみましょう。

ネタバレは絶対できない映画ですので、いたしません。







1)主演 レイフ・ファインズ について


  英国俳優で王立演劇アカデミー卒業、シェイクスピア劇にも出ている、という
  典型的なエリート俳優さんです。
  今回の役どころに近いものでは、やはり007シリーズの「M」ではないでしょうか。

  イギリス情報局秘密情報部(MI6)の部長 M役は、
  ざっくりいうとジェームズ・ボンドの上司。
  ファインズ演じる「周囲からの信頼が厚く陰の働きのできる地味目の人」というM像は、
  歴代のM役の中でも異色の演出で、
  「教皇選挙」での首席枢機卿という役柄と重なります。

  もちろん今年のアカデミー賞では、
  この映画の主演として主演男優賞にノミネートされていましたが
  受賞はされませんでした。
  昨今はグローバルな視野からの受賞が多いことも影響しているかもしれません。

  

2)日本人とバチカン

  私だけ、かもしれませんが、法事は仏教、初詣は神道という宗教観の者にとっては、
  カトリック教徒ではないのにバチカンを訪ねる、という行為に
  なんら違和感はありません。

  欧州に横たわる宗教問題の中にいる方々のように多様な感情でカトリックを見ることが
  本当にはできないので、教皇選挙、という行事をまるで葵祭を見るように、鑑賞している自分がいます。
  映画を見にきていた方々も同じように感じているように思えました。


  また、先に述べたように、ある年齢層以上の日本人女性は、バブル期から欧州連合設立の前後に
  大挙してイタリアを訪れた時期がありました。その方々は土地勘があります。

  そしてバチカンは偉大な芸術家が奉納した作品の宝庫でもあります。
  選挙が行われる場所はシスティーナ礼拝堂、ミケランジェロの代表作「最後の審判」がある部屋です。
  映画にも「最後の審判」は背景に何度も映し出され。映画をより重厚なものにしています。

 

 (余談ですが、関西からは日帰りも可能な徳島県の大塚国際美術館には
  システィーナ礼拝堂の写しがあるのをご存知ですか。。)







3)教皇という存在への関心

  同じような層の方々は、ベルサイユのばら等を通して、
  マリーアントネット王妃の実家がハプスブルク家であることは、明治維新よりも詳しいかもしれません。

  ハプスブルク家は歴代において各王国でカトリックを重んじてきました。
  「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」には
  そんな歴史のこぼれ話が満載ですが、この地味目にも見える本、とても売れていまして

  著者の最も有名な作品は「怖い絵」シリーズなのですが、その講演会が兵庫県立美術館で
  開催された時のフィーバーぶりは、実は私も参加していてひしひし感じ

  その読者層はこの映画の観客とかなり重なるようにも思えます。

  そしてオーストリアやイタリアのオペラや交響楽団の客席におられる日本人観客の層とも
  重なっているようにも思えます。

  そんな文化理解の中に教皇の位置を見出している日本人は結構多いように思うのです。



  また、バチカン周りを描いた名画では「ゴッドファーザー3」や「天使と悪魔」などもあり
  それらに馴染みのある観客層も駆けつけているように思えます。(これらの映画は両方ともおすすめです)
  





4)映画の外側

 この映画の脚本のストローハンは、あの「裏切りのサーカス」の脚本家でもあるというので

 「ひゃー、また何回か観ないと筋がわからないのでは?!」と警戒していましたが
  多分、原作が「裏切り」の方がはるかに複雑だったようで、杞憂に終わりました。



5)結論、かなり軽めに観に行って大丈夫。


  上記のような、興味の行先として多くの大人がこの映画に集結したように思いますが、
  実際の映画は、バチカンに行ったことなくても、教会や歴史に興味なくても
  全く問題ありません。なんら予備知識なく観ても、理解できるほど明快で軽やかです。


  学生さんにもどんどん行ってほしい。友人と行っても気まずい暴力もありません。
  いや、私のようにソロ活にも最適かも。


  観た後の思いは、どうでしょうか・・・。



  感動?呆然?
  あり?なし?

 
 色々な語り合いの素材となりそうな、そんな映画でした。






  















  

  
  

















posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 10:56| 医療以外のつぶやき
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