
私の医学教育は
大学卒業したらすぐに大学病院の皮膚科の外来で
「教授の診察のま横について、教授の診断技術を目と耳で覚える」
という修行をもって始まりました。
この修行で多くの患者さんに出会い
自分の診断を磨き、治療方法を学びます。
そんな修行の最初の頃の出来事です。
若い患者さんが恥ずかしそうに
「乳首がジクジクして」
とおっしゃいました。
学生時代の教科書の知識だけ頭に入っていた私は
「すわ、乳がんか。大変な患者さんが来られた!」
と思ったものでしたが
60歳を過ぎた教授は、落ち着いた口調で、
若い女性を気遣うように優しく
「アトピーの症状の一つでよくあるよ」
とおっしゃったので、本当に驚きました。
それが私の初めての乳頭湿疹との出会いです。

その後は女性医師だからでしょう、多くの乳頭湿疹と接することになりました。
診察の時には必ず症状を見せていただくようにしています。
過去には乳がんの方を発見したこともあったので診察もとても大切です。
そうして多くの患者さんに接していると
乳頭湿疹が生じやすい人には、アトピー素因の他にも
原因と考えられる特徴があることがあることに気づきました。
乳頭の形状 女性の乳頭部の様子です。乳輪の中に乳頭があります。

この乳頭の高さには個人差があるのですが、
乳頭湿疹になる人は、乳頭の高さが少しある人の多いように思います。

それはなぜかというと
この乳腺の開口部が密集した、人として一番繊細で弱い皮膚が
下着でこすられることで
破けるように湿疹が発症するからなのです。
ブラジャーの選択少し前までは
乳頭湿疹は、フルトップのブラを使っている人に
多かった様に思います。

photoACより
乳房を

形よく持ち上げるフルトップブラは

イラストACより
乳頭部を押しつぶし、湿疹の発症につながりやすいのです。

そんな方々には
3/4カップブラを、よくおすすめしてきました。

写真ACより
それも、実際よりカップ大きめを選んでもらうのです。

乳頭はフリーの状態になり、ストレスを回避できるのです。

しかし、この数年、急速な流行で世間を席巻しているブラトップ。
これがなかなかアトピー素因のある人には・・・・・・・・。

photoACより
キャミソールと一体型になっており、
できるだけ体のラインが出ないような設計になっています。

寄せて上げていた時代とは逆に、押さえつけて、体をフラットに見せる下着です。
しかも素材はハイテク化学繊維ですので
最弱なアトピー肌の方は、湿疹を誘発します。

さらに困ったことに、今、世の中から「ブラジャー」というものが
消えようとしているかのようで
大学生ぐらいの患者さんと話をしていても
ブラジャーを1度もつけたことがない人が多く
フルカップとか
3/4カップとかの説明をしても全く見たこともないような
反応なのです。
なぜ?
と、つらつら考えるに
現代のようにほぼ全ての女性が仕事を持つ様になってくると
職場で
「女性をアピールしている」と取られることを
人は避けるようになってきたのではないかと思います。
シャツにブラジャーのラインが透けて見えることもダメ
胸を寄せ上げることもダメ
となると、
最弱肌に適したブラジャーまでもが駆逐されるようなことに
なってきているのかもしれません。
でも、もし乳頭湿疹にずっと悩まされている人ならば、
ブラジャーを活用してほしいと思います。
その上で、このような治療をしています。
湿疹に

分厚く軟膏を塗ります。
(この方法なら数日で治るので、ステロイドでもいいのではないでしょうか)

その上に
固着しないガーゼ(シリコンガーゼ)を乗せます。
普通のガーゼでは滲出液がこびりついてしまい
交換するときに傷を深めるのでダメです。

軟膏の上を覆います

その上から普通の綿ガーゼ

それをそっと受け止め、乳頭を潰さない3/4カップブラ。

もし学校や職場でブラの紐が透けるのが嫌な場合は
薄い肌色のシャツなどを着ておくと、ブラジャー透けません。
ワコール公式より
乳頭湿疹のある方は、先ほども書きましたが、アトピー体質の中でも
最弱デリケート肌です。
みなさんと同じようなファッションはできないかもしれませんが
ちょっと前までは、皆違った下着をつけていたので大丈夫です。
お母様世代ならよくご存知ですからデパートの下着売り場にでも
ご一緒にお出かけになってみてください。
ちょっとした出費ですが
なかなか治らなくて
何度もクリニックに通院するよりはいいのではないかな、と思いますヨ。
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posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 17:37|
アトピー性皮膚炎