2015年04月24日

やけどでも湿潤治療。その2








きのうの続きで、今日は湿潤治療についてです。










では、
もう一度、2度熱傷についておさらいするところから始めます。








2度熱傷が起こる場面を図にしました。









2度油がかかる.jpg









やけどは、深ければ深いほど、跡が残りやすいので、
真皮まで到達するやけどは、跡の残りやすいやけど、と言えます。






きのう、お話しした、
「跡が残りますか」


というご心配のお気持ち、本当にわかるのですが、
ある意味、
この瞬間に「残りやすい」というのは決まってしまっているふらふらのです。






さて、そこを






ひらめき「跡が極力残らないように最善を尽くす。」






というのが、私たち医師のできること。




全く残らないときもあるし、

努力しても、ご本人の体質で跡が残る場合もあります。



ひらめき残るか残らないか、その結果がわかるのは6〜12ヶ月先の話。



それまでは、最善をつくしましょう。













ご自宅でのガーゼ交換のコツも
しっかりパンチ覚えて帰っていただくことが大切になります。












さて2度熱傷。



水疱ができていますね。

2度熱傷.jpg








断面図を見ると、先ほどドーンと加わった熱のせいで
水疱ができているのがわかります。
その水疱の下には、炎症で真っ赤にただれた皮膚があるのです。





水疱の断面図.jpg










ちょっと時間が経つと、水疱が破れます。
水疱の下から、ジクジクの赤身が見えます。

水疱赤身写真.jpg







断面図ではこんな感じ

赤身見えてる.jpg






さて、このジメジメ、ジクジクしている時期こそキレイに治すチャンス!









湿潤環境治療で、さらにウエットに保ちます。










湿潤断面.jpg






その時、赤身の炎症がある時期ですから、
炎症を抑える作用もある湿潤環境治療が最適です。





これは、私の経験をもとにした理論ですが、
ハイドロコロイド剤はこの時期には使わないで、
抗炎症作用を含む軟膏で湿潤環境治療をした方が
きれいに治ると思います。








しばらくすると、
カサブタが剥がれてきます。


カサブタ取れる写真.jpg








剥がれたカサブタの下には、ピンク色の美しい皮膚ができています。





新生皮膚断面.jpg







こうなれば、もう大丈夫。
湿潤環境治療も終了です。







ご自宅での軟膏の塗り方、ガーゼの薄さ、そしてお風呂での洗浄など、
キレイに治すための注意点は山のようにあります。



患者さんの頑張りも、大切な要素です。





頑張ってくださいね。











ドリアニメ原本小.gif













posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 13:39| 湿潤治療・ケガ、やけど

2015年04月23日

やけどでも湿潤治療。その1







今日からは、やけど、についてのお話です。




















通常、日常生活の中で、生じる熱傷は
1度から3度の深さの熱傷です。
普通は2度までなので、そのお話をしましょう。







1度、2度って何かというと




皮膚の深さに関係しています。




皮膚の深さの模式図です。

皮膚の層.jpg






表皮の下に、真皮、その下は脂肪などの皮下組織です。











やけどをしたときに、どの深さまで熱が到達しているのか、で
やけどの深さが分類されます。






熱傷3層.jpg











さて、ブリジッタの右手の甲で再現してみましょう。













1度熱傷。

1度熱傷.jpg





一瞬、お湯がかかったくらい、
ヒリヒリ痛いやけどです。















2度熱傷



2度熱傷.jpg




水疱や、それの破けたびらんができて、浸出液が出ています。













さて、この分類なのですが、
本当にどの深さまで熱が到達しているかは、
ひらめき2日目くらいにならないとわかりません









やけど直後、1度だと見えても安心できません。
2日目に水疱になることも、よくあるからです。



これは、実は熱の到達が真皮まで入っていた、ということです。








患者さんには、初診時に、2日目に水疱になるかもしれないことをしっかり説明します。










同じく、2度だと思っていても、
2週間くらいすると、炭みたいに真っ黒になってくることがあります。






実は熱が皮下組織まで到達していた3度熱傷だったわけです。









熱傷3層.jpg








このように、たった一瞬の熱が、どの深さまで実は到達していたか、
それは、その後の処置では、どうしようもない、という側面があります。
一生懸命冷やしてください。そして、丁寧な処置もしましょう。

しかし、
タンパク質の変性の深さは、不幸にもやけどの一瞬で決まっているのです。













さて、患者さんに、よく質問されるのが




「跡が残りますか?」




私の答えは

「最善をつくしましょうね」



と、なります。




明日は、その最善の治療についてお話しします。
















ドリアニメ原本小.gif





















posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 13:58| 湿潤治療・ケガ、やけど

2015年04月21日

湿潤環境治療の仕組み。







昨日に引き続き、
「湿潤治療」のお話です。





私がこの理論に出会って20年が経ちます。

その間に、湿潤治療をしてきた患者さんは、多分600人以上はいます。
もっとかも。





さて、


ケガをして、表面の皮膚が損傷をうけたところから
お話を始めます。



ブリジッタケガ.jpg
(アルベロベッロ出身のブリジッタちゃんです。)













昨日お話ししたように、まずは、内部に土砂、砂利などがないように
しっかり洗浄します。


洗浄された創面.jpg











その創面(傷口)なのですが、
人間の体の仕組みはすごいですね。
たちまち、傷を修復しようとというシステムが開始されます。








湿潤治療は、その人間の治癒能力を利用して高める治療です。







治癒能力には、色んな細胞や免疫機構が働くのですが、
ここでは、血管の働きに注目しましょう。












創面への血管増生.jpg





ケガをすると、どばっと、血が出てしまうので、
血管は悪者に見えがちですが、



実は、傷を治すための栄養や酸素を供給する、
最も大切な運搬路です。





もし、血管による運搬が途絶えてしまうと、その場所は壊死するので、
本当に血流は大切。
私も、いつも、やや出血があるくらいのほうが安心します。












さて、創面です。

創面への血管増生.jpg




ケガの部分には、血管が新生され、まず運搬路はが確保されます。












この血管新生を、さらに強めるのが、湿潤環境治療です。







湿潤環境.jpg











ハイドロコロイド剤や、軟膏などで、ケガを被覆し、
空気に触れさせない環境を作ります。












プロ用のハイドロコロイド剤です。
市販のものよりも、あらゆる点で秀でています。

image.jpgimage.jpg















湿潤環境にしてあげると・・・・・・・・・









湿潤すると血管は.jpg













その結果


湿潤血管増生.jpg












湿潤環境治療は、ハイドロコロイド剤を使うこと、とは違います。






私の経験では、状況に合わせて、
軟膏を使う方がよりよい場面も多いと思います。





その場合も患者さんがびっくりするくらい軟膏を大量に塗ります。






ちょうど、下のような環境を軟膏で作らねばならないからです。
ブルーのところが全て軟膏です。

湿潤環境.jpg

















image.jpg


え?ブリジッタちゃん、アルベロベッロからお姉ちゃんが訪ねてきたの?
お見舞い・・・?(次回に続く)











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posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 09:32| 湿潤治療・ケガ、やけど

2015年04月20日

ケガのあと、外傷性刺青について。










本日からは、大変ご相談の多い、顔のケガについてお話しします。


第1回の今日は、ひらめき外傷性刺青について。









あ、ブリジッタちゃん、顔からこけちゃった!








大変です。お顔に深い傷ができました。
出血もしています。

ブリジッタケガ.jpg












しかも、よくみると・・・・・・・・





傷土砂入り.jpg













このままでは、大変!
痛いかもしれませんが、洗浄が必要です。















傷洗浄済み.jpg
















洗浄のときに、傷が広がるように感じるかもしれません。
でも、最終的には、このほうが綺麗に治るのです。
頑張れ!
















でも、痛いから無理。
洗えないってことになると・・・・


傷口の奥に土砂が残存してしまうことになります。










土砂残存.jpg













外傷性刺青.jpg











皮膚の下に埋め込まれた土砂は、そのまま定着します。

ケガによって生じた刺青なので、「外傷性刺青」といいます。






ブリジッタ刺青.jpg











傷を綺麗に治したい、と当院を選んで来院くださる皆様ですが、
実際の現場では、色々なことが起きます。







患者さんが小さい場合は、深い洗浄は容易ではありません。
まず、ベッドに横たわってくれないことも多いのが現実。
できる限りの、中途半端な処置しかさせていただけない場面も多いです。










大人の場合は、傷が深い場合は局所麻酔して土砂を掻き出します。
それでも、交通事故クラスの深い傷の場合は、
めり込んだアスファルトを全て掻き出すのは困難です。






それらの場合、傷がすっかり治った後に、刺青が残ってしまうことがあるのです。







ブリジッタ刺青.jpg












また、お子さんの場合、傷の治りがとても早いので、
2〜3日経過してから来院した時は、
すでに土砂が入ったまま傷が閉じてしまっていることがあります。雷












お母さんに、ぜひお願いしたいのは・・・・・・



お子さんを水道のシャワーの下に連れて行って、
できるだけ砂利を掻き出すように洗ってほしい、



ということです。










それでも、刺青が残ってしまった時は、





後日、局所麻酔をして皮膚を切り、
奥の土砂を掻き出す手術が必要になります。









お子さんの場合は、大人になるまで、そんな手術は難しいので
数年後になってしまいます。













image.jpg
今日はかわいそうなモデルをさせて、ごめんね、ブリジッタ。









さて、次回は、きれいに治す、湿潤治療についてお話しします。












ドリアニメ原本小.gif

























































posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 11:28| 湿潤治療・ケガ、やけど

2015年03月17日

湯たんぽによる低温やけどの多い冬でした。

今日は、ずいぶん暖かい朝でした。
もう、本当に春がそこまで来ています。

今年の冬も厳しい寒さが続き、その影響で、湯たんぽによる低温やけどが多い冬となりました。

低温で皮膚の深部まで熱の到達する低温やけどは、
通常の熱湯などのやけどよりもはるかに重症です。


治療のポイントは、通常の湿潤治療のコツと同じ。
乾かさないこと、そして入浴時にきれいに洗うことです。
適切な治療が遅れるほど強い瘢痕を残します。


春の到来とともに患者さんも治っておられます。

写真は庭の水仙。今朝、開花しました。
IMG_0686.JPG
posted by 皮膚科芦屋柿本クリニック at 09:08| 湿潤治療・ケガ、やけど